育児休業等期間中に係る保険料免除の取扱いについて

厚生労働省から、新着の通知(令和4年9月14日掲載)として、「健康保険、船員保険及び厚生年金保険の育児休業等期間中の保険料免除等の取扱いについて(令和4年8月9日保保発0809第2号・年管管発0809第1号)」が公表されています。これは、育児休業等期間中に係る保険料免除の取扱いについて、その詳細を説明するもので、当該免除の取扱いについては、令和4年10月1日を施行日として、改正が行われますので、確認することをお勧めします。

■健康保険、船員保険及び厚生年金保険の育児休業等期間中の保険料免除等の取扱いについて(通知)
健康保険、船員保険及び厚生年金保険の育児休業等期間中の保険料免除等の取扱いについては、これまで「健康保険、船員保険及び厚生年金保険の育児休業等期間中の保険料免除等の取扱いについて」(平成17年3月29日付保保発第0329001号・庁保険発第0329002号。以下「平成17年事務取扱通知」という。)に基づき取り扱われてきたところである。

今般、令和3年6月11日に公布された全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律(令和3年法律第66号)の一部が令和4年10月1日から施行されることに伴い、施行後の事務の取扱いを下記のとおりとするので、遺漏のないよう取り扱われたい。
なお、この通知による取扱いは令和4年10月1日から実施することとし、平成17年事務取扱通知は令和4年9月30日限り廃止する。

第一 制度の概要
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号。以下「育介法」という。)第2条第1号に規定する育児休業、同法第23条第2項の育児休業に関する制度に準ずる措置若しくは同法第24条第1項(第2号に係る部分に限る。)の規定により同項第2号に規定する育児休業に関する制度に準じて講ずる措置による休業、国会職員の育児休業等に関する法律(平成3年法律第108号)第3条第1項の規定による育児休業、国家公務員の育児休業等に関する法律(平成3年法律第109号)第3条第1項同法第27条第1項及び裁判所職員臨時措置法(昭和26年法律第299号)(第7号に係る部分に限る。)において準用する場合を含む。)の規定による育児休業、地方公務員の育児休業等に関する法律(平成3年法律第110号)第2条第1項の規定による育児休業又は裁判官の育児休業に関する法律(平成3年法律第111号)第2条第1項の規定による育児休業(以下「育児休業等」という。)をしている健康保険、船員保険及び厚生年金保険の被保険者(以下単に「被保険者」という。)については、総合的な次世代育成支援対策を推進する観点から、子が3歳に達するまでの育児休業等期間中の保険料を免除することができることとされており、併せて育児休業等を終了した日において当該育児休業等に係る3歳に満たない子を養育する場合、育児休業等を終了した日の翌日の属する月以後の3月間に受けた報酬総額の月平均を基準として(船員保険においては、育児休業等を終了した日の翌日現在の報酬月額を基準として)標準報酬月額を改定(以下「終了時改定」という。)することができることとされている。

なお、健康保険法(大正11年法律第70号)第43条の3第1項、船員保険法(昭和14年法律第73号)第19条の2第1項及び厚生年金保険法(昭和29年法律第105号)第23条の3第1項に規定する産前産後休業をする被保険者に対しては、別途の制度(産前産後期間中の保険料徴収の特例、産前産後休業を終了した際の改定)が設けられている。

第二 育児休業等期間中に係る保険料免除の取扱いについて
1:標準報酬月額に係る保険料の免除基準について
(1)育児休業等を開始した日(以下「育児休業等開始日」という。)の属する月と当該育児休業等が終了する日(以下「育児休業等終了日」という。)の翌日が属する月が異なる場合
育児休業等開始日の属する月を保険料の免除期間の始期とし、育児休業等終了日の翌日の属する月の前月を免除期間の終期とすること。

(2)育児休業等開始日の属する月と育児休業等終了日の翌日が属する月とが同一の場合
当該月における育児休業等の日数が14日以上ただし、当該被保険者が育介法第9条の2第1項にいう出生時育児休業を取得する場合には、同法第9条の5第4項の規定に基づく事業主が当該被保険者を就業させる日数を除く。である場合、当該月の保険料を免除すること。

2:標準賞与額に係る保険料の免除基準について
1月を超える育児休業等を取得している場合に限り、免除の対象とすること。なお、免除期間は、1(1)に示すとおりであること。

3:その他
(1)被保険者が連続する2以上の育児休業等を取得する場合(1の育児休業等終了日とその次の育児休業等開始日の間に、当該被保険者が就業した日がない場合を含む。)における本制度の適用については、その全部を1の育児休業等とみなすものであること。
なお、連続する2以上の育児休業等については、同一の子に係る育児休業等に限定するものではないこと。

(2)当該育児休業等の対象となる子が3歳に達する日以後の休業について
労使協定により定められている場合であっても、本制度は3歳に満たない子を養育するための育児休業等に限って適用するものであること。

第三 保険料免除の手続きについて
1:保険料免除の申出
(1)育児休業等期間中の保険料免除の申出については、事業主又は船舶所有者(以下「事業主等」という。)が、「健康保険・厚生年金保険育児休業等取得者申出書終了届別紙1」又は「船員保険・厚生年金保険育児休業等取得者申出書(別紙2)」以下「申出書」という。を日本年金機構又は健康保険組合(以下「機構等」という。)に提出すること(電子申請により提出する場合を含む。)により行うものであること。

(2)申出書の提出は、育介法上の区分(育介法第5条第1項にいう被保険者の養育する子が1歳に達するまでの育児休業、同条第3項にいう当該子が1歳から1歳6か月に達するまでの育児休業、同条第4項にいう当該子が1歳6か月から2歳に達するまでの育児休業、同法第9条の2第1項にいう出生時育児休業、同法第23条第2項にいう当該子が3歳に達する日までの育児休業に関する制度に準ずる措置又は同法第24条第1項(第2号に係る部分に限る。)の規定により1歳から3歳に達するまでの子について同項第2号に規定する育児休業に関する制度に準じて講ずる措置による休業の別をいう。以下同じ。)ごとに分け、その都度、当該育児休業等期間中又は終了後の一定期間中(育児休業等終了日から起算して1月以内。以下「育児休業等期間中等」という。)に行うものであること。

また、育児休業等期間中において、育児休業等を終了した後に、再度当該子に係る育児休業等を開始したときは、その都度、当該育児休業等期間中等に申出書の提出を行うものであること。

なお、育介法上の区分の異なる育児休業等を連続して取得する場合には、第二31に示すとおり、その全部を1の育児休業等とみなすことから、新たに保険料免除の申出を行うのではなく、3(による育児休業等終了日の延長に準じた申出をするものであること(当初の申出時点においては、育介法上の区分に応じて、当該申出に係る育児休業等終了日を申し出る必要があること。

(3)当該育児休業等終了日から一定期間を経過した後(育児休業等終了日から起算して1月を経過した日後)に申出書を提出する場合においては、理由書等(必要に応じて当該書類等を補完する資料を添付するものであること。

2:育児休業等取得者の確認通知
機構等は、申出書により当該被保険者が育児休業等の取得者であると確認したときは、その旨を事業主等に通知するものであること。

3:育児休業等終了日の変更に係る届出
(1)被保険者が育児休業等終了日前に当該育児休業等を終了した場合
事業主等は、「健康保険・厚生年金保険育児休業等取得者申出書終了届別紙1」又は「船員保険・厚生年金保険育児休業等取得者終了届(別紙3)」により届出をするもの(電子申請により届出をする場合を含む。)であること。

(2)被保険者が育児休業等終了日を延長した場合
事業主等は、変更後の育児休業等期間等を記載した申出書により届出をするものであること。
ただし、延長後の育児休業等終了日は、被保険者の養育する子が1歳に達するまでの育児休業の場合は1歳に達する日、当該子が1歳から1歳6か月に達するまでの育児休業の場合は1歳6か月に達する日、当該子が1歳6か月から2歳に達するまでの育児休業の場合は2歳に達する日、当該子が3歳に達するまでの育児休業の制度に準ずる措置による休業の場合は3歳に達する日をそれぞれの限度とするものであること(育介法上の区分の異なる育児休業等を連続して取得する場合であっても、それぞれの届出時点では、育介法上の区分に応じ、当該届出に係る育児休業等終了日を届け出る必要があること。)。

4:例外的に保険料免除が終了した場合の終了通知
機構等は、3(の届出により育児休業等終了日前に当該育児休業等を終了したと確認したときは、その旨を事業主等に通知するものであること。
なお、育児休業等期間中に被保険者資格を喪失した場合については、終了に係る通知は要しないものであること。

5:その他
育児休業等期間中の保険料免除を受けるためには、1(2)に示すそれぞれの育児休業等期間中等に、事業主等からの申出書の提出が必要であることから、申出漏れのないよう事業主等への制度の周知に配慮されたいこと。

第四 育児休業等を終了した際の標準報酬月額の改定について
1:終了時改定の申出
被保険者による終了時改定の申出は、氏名、生年月日等の必要事項を記載した「健康保険・厚生年金保険育児休業等終了時報酬月額変更届別紙4」又は「船員保険・厚生年金保険育児休業等終了時報酬月額変更届(別紙5)」(以下「変更届」という。を事業主等へ提出し、報酬等の必要事項を記載した変更届を事業主等から機構等に届出をすること(電子申請により届出をする場合を含む。)により行われるものであること。

2:報酬月額の算定
(1)報酬月額は、育児休業等終了日の翌日の属する月以後3月間(支払基礎日数が17日(健康保険法施行規則(大正15年内務省令第36号)第24条の2及び厚生年金保険法施行規則(昭和29年厚生省令第37号)第9条の7に定める者にあっては11日。以下同じ。)未満である月は除く。)に受けた報酬総額をその期間の月数で除して得た額とされるものであること。

(2)船員保険においては育児休業等終了日の翌日現在の報酬を基準として算定し、育児休業等終了日の翌日の属する月の翌月(育児休業等終了日の翌日が月の初日であるときは、その月)より改定すること。

3:終了時改定後の月額変更(船員保険)
船員保険における変更届により申出のあった報酬月額に基づき定められた標準報酬月額を、その後の勤務時間その他の勤務条件の変更により改定する場合は、「船員保険・厚生年金保険被保険者報酬月額変更届(育児休業用)(別紙6)」を船舶所有者から提出させること。
なお、この場合の報酬月額の算定については、「勤務時間その他の勤務条件に変更のあった日」の現在の報酬を基準として算定し、その変更のあった日の属する月の翌月(その変更のあった日が月の初日であるときは、その月)より改定すること。

4:標準報酬月額の改定の該当通知
2又は3による標準報酬月額の改定をしたときは、その旨を事業主等に
通知するものであること。

5:その他
(1)育児休業等終了日の翌日の属する月以後の3月の支払基礎日数がいずれも17日未満である場合等、上記以外に係る育児休業等を終了した際の標準報酬月額改定における取扱い(船員保険の場合は除く。については、定時決定における取扱いに準ずるものであること。

(2)終了時改定については、健康保険法第189条、船員保険法第38条及び厚生年金保険法第90条に規定する標準報酬に関する処分にあたるため、
同法に基づく審査請求の対象となること。

第五 育介法第24条第1項第3号の規定による3歳から小学校就学の始期に達するまでの子を養育する被保険者の休業措置に係る取扱いについて
3歳から小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に関する措置として育児休業に準じた休業期間が設けられている場合において、
①当該休業期間の長さが社会通念上妥当なものであること
②当該休業期間満了後は必ず復職することを前提として認められたものであること
③当該休業期間中は他で就労しないことを前提としていること等により事業主等と被保険者との使用関係が継続すると認められるときには、当該被保険者の被保険者資格は存続するものであること。ただし、当該期間は保険料の免除期間には該当せず、育児休業等を終了した際の標準報酬月額の改定の契機ともならないものであること。

第六 その他
1:育児休業等による保険料免除該当者のある事業所等の総合調査等を行う場合は、育児休業等の事実関係及び被保険者の実質的使用関係の存続を確認すること。

2:令和4年10月1日以降に本通知における申出を行う際、現にある平成17年事務取扱通知による別紙の様式等を使用する場合においては、当分の間、これを取り繕って使用することができるものであること。

3:令和4年9月30日以前に開始した育児休業等については、従前の取扱いによること。

詳しくは下記参照先をご覧ください。

参照ホームページ [ 厚生労働省 ]
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T220914T0060.pdf
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