36協定に関する調査について

平成29年7月7日に「36協定に関する調査」の公表がございました。
この調査は、日本労働組合総連合会が行ったもので、全国の20歳~65歳で働いている人1,000名の有効サンプルを集計(インターネット調査)したものになります。
政府は、「働き方改革」として、長時間労働の改善や生産性向上に取り組んでおり、労働時間への関心が高まっておりますが、その取り組みがどの程度認知されているのかを知る上でも興味深い調査になります。調査結果を抜粋してご紹介いたします。

【調査項目】
(1)時間外労働の実態
(2)36協定の締結状況・周知状況
(3)働き方・労働時間に対する考え

【調査結果】
(1)時間外労働の実態
①残業を命じられることがあるか、ないかを聞き、残業を命じられることがある人には1 ヶ月の残業時間を質問

⇒「残業を命じられることがある」62.5%(20代男性は最も高く80.6%)
⇒1ヶ月の残業時間 平均22.5時間、最も平均時間が長いのは運輸業で33.6時間

②残業を減らすための取り組みは、行われているか。
勤め先で行われている労働時間(出退勤の状況等)の管理方法

⇒残業を減らすための取り組み 「何も行われていない」が46.6%
残業削減の取り組みは、「ノー残業デーの導入」が30.5%で最も多い。
⇒労働時間の管理方法 「タイムレコーダーによる管理」が28.6%で最も多い
次いで「自己申告による管理」が20.2%、わからないという回答も12.4%あり

(2)36協定の締結状況・周知状況
①会社が残業を命じるには、労使協定(いわゆる36 協定)を結んでおく必要があることを知っているか、知らないか。

⇒「知っている」が56.5%、「知らない」が43.5%

②勤め先が36 協定を締結しているか。

⇒「締結している」は45.2%、「締結していない」が17.2%、
「締結しているかどうかわからない」が37.6%

(3)働き方・労働時間に対する考え
①自身の考えは【A】と【B】のどちらに近いか。
【A】給料が少なくても、プライベートの時間を確保できるほうがよい
【B】労働時間が長くても、給料を多くもらえるほうがよい

⇒Aに近いは62.4%、Bに近いは37.6%

②自身の考えは【A】と【B】のどちらに近いか。
【A】やりがいが少なくても、プライベートの時間を確保できるほうがよい
【B】労働時間が長くても、やりがいが多いほうがよい

⇒Aに近いは62.5%、Bに近いは37.5%

今回の結果でまず驚くことは、36協定の認知度が低いということです。
政府の働き方改革等の周知により、36協定の認知度は上がったとはいえ、いまだ4割以上の人が認知していない状況です。
また、働き方・労働時間に対する考え方の項目では、「給与額」や「やりがい」よりも
プライベート時間の確保を重視する人が多いという結果になっています。
働き方改革の推進で、今後は更に仕事に対する意識に変化が生じると思います。また、中小企業における月60時間超の時間外労働への割増賃金率の適用猶予廃止(施行期日平成31年4月1日)も迫っていますので、生産性を高めて、残業時間の削減に取り組む必要があるのではないでしょうか。


竹中幹夫

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