就業規則の基礎知識(3)就業規則の意見書

労働基準法第90条は、「使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
2 使用者は、前条の規定により届出をなすについて、前項の意見を記した書面を添付しなければならない。」
と定めてあります。

労働組合あるいは労働者の過半数代表者は「意見書」に記入し署名または記名押印します。

労働者の過半数代表者の選出方法は、労使協定の締結や就業規則の意見聴取のための過半数代表者であることを明らかにした上で、投票や挙手などの方法によります。ただし、管理監督者の地位にある人は労働者の過半数代表になることはできません。また、使用者が一方的に指名するなどの方法は認められません。

「意見を聴き」、「意見を記した書面」と定められていますので、「意見書」が必要となります。

「意見書」ですから意見を聴けばよいのであって、「合意」を求める必要はありません。

労働契約法の施行によって、「合意」のない労働条件の不利益変更は原則としてできないこととなりましたが、労基法90条の意見聴取のプロセスには改正がありませんでしたので、今後も就業規則作成、変更、届出の際には、労働組合あるいは労働者の過半数代表者の「意見」を聴けば足り、「合意」までは必要ありません。

とはいえ、労使トラブルを未然に防ぐためには、労使で十分に討議の上、両者とも納得できる就業規則を作成することが望ましいといえます。

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